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当院は,越前加賀海岸国定公園内にあり,周辺には加賀温泉郷,渡り鳥の飛来する鴨池,加賀藩城下町として栄えた大聖寺の街並みなど,豊かな自然と文化に恵まれた環境が広がっています.昭和14年,療養に最適なこの地に当院の前身である陸軍傷痍軍人療養所が開設されました.戦後,厚生省へ移管,国立石川療養所として石川県における結核治療の中心的役割を果たし,一時は800床を数えました.その後,疾病構造の変化とともに結核病床は縮小・廃止され,重症心身障害や神経難病の診療へ軸足を移してきました.平成15年には,国立山中病院との統合により整形外科,外科,内科などの一般診療機能も加わり,平成16年の独立行政法人化を経て,国立病院機構石川病院として現在に至ります.
このような歴史から,当院はコンパクトながら慢性期と急性期の診療機能を併せ持つ国立病院機構病院の中でもユニークな特徴を備えた病院となっています.
最近の当院の取り組みの一端をご紹介しますと,慢性期医療では,平成29年6月から療養介護サービス事業「コスモス」のサービスユニット20床を併設しました.重度の障害患者さんが長期に入院しながら個別に計画された治療とケアを受けることができ,従来の診療に比べて生活の質が向上したとの評価をいただいております.また,在宅で療養されている方への支援として,神経難病のレスパイト入院,重症心身障害児(者)の短期入所を積極的に受け入れてきました.
急性期医療では,消化管の内視鏡検査と治療,整形外科と心臓血管外科領域の診療に加えて,内科常勤医による一般内科疾患の入院治療,人間ドック,周術期管理を行い,診療の幅を広げることができました.また,国立病院機構金沢医療センターの協力のもと,障害者歯科,消化器科,循環器科の外来診療も充実しました.今年度は,さらに内科常勤医1名が増員となり,金沢大学附属病院内科専門研修プログラム専攻医の受け入れも開始する予定です.
今後急速に進むとされる高齢化の流れは、加賀市においても例外ではありません。ご高齢の患者さんでは、複数の疾患が併存することも稀でないため,しばしば治療後の生活に何らかの不都合を伴います.これからの医療では,患者さんを全人的に理解して,退院後の生活までも配慮しながら支援していくことが求められるでしょう.私どもの障害者病棟では,意思表示をすることも難しい患者さんの心情をお察しし,何をして差し上げるのが適切かを考えるプロセスを大切にしてきました。こうした姿勢は,一般の患者さんの診療においても重要になると考え、このたび病院の理念を「一人ひとりと向き合い,最善の医療を共に考え,心をこめて実践します」としました.スタッフ一同それぞれに技術と感性を磨き、また多職種が協力して、患者さんやご家族の意向を尊重しながら最善の選択肢を提案したいという思いです。昨年秋に完成したばかりの新しい病棟で,すべての患者さんが安心して治療を受けられるよう務めて参りますので、ご支援・ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
国立病院機構石川病院 院長 伊勢 拓之
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